山湯里の旅・出湯紀行
名のあるタイル使用の内湯
桧風呂
家族風呂

歴史のある宿として幾人もの著名人が滞在した
角間温泉・旅館越後屋
湯田中・渋などの温泉街から数分しかかからない場所にあるのに、陽が沈むころになると時代が
明治に遡った錯覚に陥ってしまうような越後屋の佇まい。木造3階建ての窓から文学青年が私に
声をかけても全然可笑しくない。幾人もの著名な文人墨客がこの格子戸風の玄関戸を開け閉めし
たのだろう。玄関から中庭伝いの廊下を行くと3ヶ所の浴室が並んでいる。一番手前は家族風呂
で、隣は現代では貴重だと言う珍しいタイル貼りの内湯、そして桧風呂となっている。更に中庭
には露天風呂もあるが、廊下を歩く人から見えてしまうので入りづらい。
特に男風呂、女風呂の表示がしてなかったが、宿の女将さんは「空いている時はお好きなお風呂
に入って下さい」との事。私は情緒たっぷりの桧風呂を選んだが、湯口がちょっと変わっていて
木の樋(トイ)を利用し源泉が注ぎ込まれていた。湯船が熱くなった場合はその樋をずらし、洗い
場にかけ流すようにしてある。
また越後屋には林芙美子や武田泰淳、横山大観など著名人が滞在している。特に吉川英治は当時
の館主と親交も深く、その時の手記や書状が残されているので、宿に来たときは是非拝見しても
らいたい。

EpisodeQize
露天風呂のある中庭には池や草木が植えてあり、その一角には、この宿に1年ほど投宿した若き
日の文豪吉川英治の文学碑がある。今から20年程前、有志の提案で建立したのだが、この碑の
石材は牟礼村にある■■■■山から切り出し、豊野町の石材屋が彫ったと言う。


■入浴料:500円
■泉質:単純泉
■住所:下高井郡山ノ内町角間
■tel.0269-33-3188
■date:2002.7.4

地域&地図情報
木造3階建の宿 英治が執筆した客室

ゴージャス志向の方はがっかりするかも知れません。古い建物と温泉だけが自慢ですので。
もし、当宿をご利用の場合は「花坂の出湯紀行を見た」と言って下さいネ。又はメールで。
真心込めてお迎え申し上げます。

NEXT・福島屋 HOME